【人間的魅力をアップするには?】

●「商品を売るな。自分を売れ」とは?●

 「商品を売るな。自分を売れ。」という言葉があります。
 例えば、商品を売る場合、買う相手に、人間的にまず気に入ってもらえなければ、たとえ良い商品でも買ってもらえない可能性さえあります。
 ですから、後述する、私が長年かかって少しずつ身につけてきた、一瞬で相手の人間性を見抜き、相手に応じた臨機応変な対応ができる、という例をご参考いただき、好感度を上げられることをお勧めします。
 ただ、ここで、注意していただきたいのは、私も、若い頃にあったのですが、周りの人たちの目ばかり気にして、常にイイ子であろうということばかり考えていては、主体性がなくなって、おどおどした、魅力のない人間になりかねないという点です。
 私も、かつてはこういった時期もありました。
 でも、いろいろと失敗したり成功したりして、今では、その場の雰囲気に最もあった自分を意識しないで出せるようになったことと、人生経験を積んで、いろいろな点で自信がついたということもあり、現在の私は、他人の私への評価など全く気にならなくなったということから、実際の感覚としては、他人の目などほとんど気にしていないといったところかと思います。

 他人に好感をもたれるには、他人の評価を考えなければならない。
 でも、他人の評価だけを考えて行動していると、おどおどとした魅力のない人間になってしまい逆に他人に好感はもたれなくなってしまうし、本人のストレスもたまる。
 この一見矛盾している事柄は、どこから来るのか。

 それは、他人(の性格)や、その場の雰囲気を見抜く目の成熟度によると思います。
 前述のように、私も若い頃から、30代前半位までは、他人を見抜く能力や、その場の雰囲気を見抜いて、適切な自分を出すことに、熟達してはいませんでした。
 ですから、その頃は、結構、他人から「いい人」とは思われていたようですが、自分では結構疲れ、瞑想でストレス解消と、更なる自己改革を目指した訳です。
 でも、そんな努力のかいあって、現在では、他人の評価など全く気にしないで言動をしても、自然に他人に好感を持ってもらえる人間になることができたようです。
 何事も、トレーニングが大切です。
 スポーツの名選手だって、最初からその種目の達人だったわけではなく、練習や試行錯誤などを経て、だんだんと無意識に最高のプレーができるようになった訳です。
 私は、他人の評価を気にしなくても他人が大方良い評価をしてくれる自分になれた訳ですが、私も神様ではないが故、知らないうちに人を傷つける言動をする可能性はあります。
 でも、それに気づいた時点でフォローしたり、反省して今後に生かせばいいのであって、今の自分は、あくまでも自分の感性に従って自由な言動をおこなうということを基本としています。
 第一、他人が、どんな評価をしようと、自分というものが1ミリたりとも変化するはずはないのですし、他人なんていうのも所詮不完全な訳で、不完全な他人の評価をいちいち気にする事によって自分自身がころころ変わってしまったのでは、いつまでたっても心の平安は得られません。
 自分の幸福のため、他人の幸福のため一生懸命生きるという信念に沿った言動を心がけ、自分の自然な言動が実際に他人を幸福にするという状態になってきたなら、以後は、何ら他人の評価など気にする必要はないのです。
 結果的には、決して悪い評価を受けることはないわけですけど。

 ですから、あなたも、毎日会う人会う人それぞれが、自分にとってのトレーニングの材料でもあるとでも考え、日々、人を見る目と、TPOに合わせて適切な自分を出せる自分を徐々に養っていただけば、近い将来、自分で思うがままに言動しても、他人から好感をもたれ、ストレスを感じないで生きていける人間になることができるはずです。
 ただ、その境地に至るまでは、毎日、ストレスがたまる可能性もありますので、後述する瞑想などで、ストレス解消と、自己改革をなさることをお勧めいたします。

 さて、世の中の人間。いろんなタイプの人がいます。

 ヒマな人もいれば、忙しい人もいます。
 話好きな人もいれば、無口な人もいます。
 神経質な人ものんびりした人もいます。
 短気な人も、気長な人もいます。
 その商品に興味のある人もない人もいます。
 趣味のある人もない人もいます。

 例えば、私が、セールスマンだったとしたら、それらのうち、まず、初対面の相手の表情から読みとれるだけ読みとります。

【ケース1】

 (このお客さんは、ちょっと忙しそうで、神経質そうだな、でもこの商品に全く興味がないわけではなさそうだ)と判断したら、

「お忙しいところ、時間をお取りいただき、ありがとうございます。大切なお時間ですので早速おうかがいしたいのですが、○○様のところでは××はお使いでしょうか。」

『△△社のを使ってるし、それで間に合ってるよ』

「さようでございますか。△△社の××は、評判の良い機種であることは手前どもも存じ上げております。
 ただ、今回手前どもで開発した××は、数々の画期的な機能が加えられ、今までの機種とは、比較にならない程効率が良くなっているものですから、手短にお話だけさせていただこうかと存じます。
 ところで、△△社の××を使われて何かご不便をお感じになっている点はありませんでしょうか」

『別にないけど』

「さようですか。例えば、.....などということでお困りになったことはありませんでしょうか」

『そういえば、前に何度かそんなことがあって、そんな機能があればと思ったこともあったなー』

「実は、当社の××は、その点につきまして、大変ご好評をいただいている訳なのですが、その他、.....や......等という機能も旧タイプの機種に比べると格段の改良がなされております。
 ○○様のように、××を多用なされている会社ですと、実際大変な効率アップと労力削減になり、1年もしないで元を取ったとおっしゃる会社がほとんどでございます。
 ましてや、○○様のような大きな規模の会社(ヨイショ(笑))では、それこそ半年でペイできるかと存じます」

『ふーん』

「パンフレットと納入価の見積もりを置かせていただきますので、一度ご覧いただき、ご検討いただければありがたいと存じます。
ちなみに、これは、この製品のイメージキャラクターグッズなんですけど、お使い下さい。ではまた、寄らせていただこうかと存じます。」

といって、帰り、しばらく日にちをおいてまた訪問する。

なんてパターンになるかもしれません。

【ケース2】

 また、(このお客さんは、この××にはあまり興味はなさそうだけど、ヒマそうで、話好きそうだな)と判断したら、

「もう春を通り越して初夏ですねー。
 ここへ来るときも道ばたの温度計が28度になっていましたねー」

『そーだよねー。毎日いい天気だよねー』

「○○様は、ゴルフとかはやられるのですか」

『いや、ゴルフはやらないよ』

「なにか、スポーツとかご趣味とかはなさりますか」

『んー。テニスはやるなー』

「これから、テニスなんかにもちょうどいい気候になるんじゃないですか」

『そうだねー。で、おたくもテニスはやるの?』

「いえ、今まで、ラケットは3回くらいしか握ったことはありません。
 運動神経が悪いのもあるんでしょうけど、テニスって難しいスポーツだと思うんですけど」

『そうなんだよ。
 相手が打ちにくい所へ打ってくる動いている玉を、こちらも動きながらやはり相手の打ちにくい所へ打ち返すんだから、簡単そうで、実に奥深いスポーツなんだよ。
 止まったまま打てばいい野球はもちろん、止まっているボールを止まったまま打てばいいゴルフなんかと比べたら格段に難しいスポーツなわけだよ』

「そうなんですかー。そのうち教えていただければと思うんですが」

『あーいいよ。来月仲間とやる予定だから、決まったら連絡するよ』

「ぜひ御願いいたします」

『ところで、おたくの××ってなんか特徴あるの?』

(シメシメ(笑))

あとは、前のケースと同様に話をもっていく。

 こんな風に相手、状況によって、臨機応変に対応していけるのが有能なセールスマンかと思います。
 もちろんここでは、たまたまセールスマンを例に挙げたというだけであり、他の状況でも、基本は全く同じで、相手や状況を見抜きながら言動していくという事が、好感度アップには重要なのです。

 もちろん、初めは多少ぎこちないでしょうし、ストレスもたまるでしょう。
 でも、何度も申し上げたように人間、訓練次第でどうにでもなります。
 こんな私だって、若い頃は結構「内気」で「暗め」で「話し下手」な人間だったんですから。

 今、こんなことを人に言うと、「エー。そうなんですかー?ちょっと信じられないですねー」と言われますけど(笑)。
 まず、他人から好感をもたれれば、契約はあとからついてきます。
 もちろん、絶対というものはこの世にあり得ないわけで、契約をとれる可能性が、ずっと高くなるということなわけです。
 そして、その商品が、どれくらいお客様の手助けになるかという、「相手サイドでのメリットを信頼感のおける話し方で話せば」、契約はとりやすくなるかと思います。
 くれぐれも「売りたい」という本音は、おくびにも出さず、あくまでも相手のことを思っての言動に徹するべきでしょう。

 以上のような事が、「商品を売るな、自分を売れ」という言葉の真意かと思います。



●心の柔軟性を身につけるには●

 「交流分析」という性格分析法があります。

 これは、誰からも好感のもたれる人間性を身につけたり、人間関係を改善して悩まずに楽に生きていくのに効果があります。
 それによると、人間の心の中には、

@大人の部分(論理的、理性的な部分)
A無邪気な子供の部分(素直に楽しみを追求する部分)
Bお利口さんな子供の部分(周囲に気に入られようとして自分を抑制する部分)
C優しい親の部分(他人に対して思いやりを示す部分)
D批判的な親の部分(他人を批判する部分)

 の5つの部分があり、それぞれの比率によっていくつもの性格に分類される、とされています。
 そして、時と場合によって、この5つのどれをメインに出すかによってもその人の好感度は変化します。

 たとえば、重要な会議中、A氏が、「@大人の部分」を発揮させ、的確な意見を言ったり、意見をまとめたりしたならば、彼への評価は高まるでしょう。
 一方、B氏が「A無邪気な子供の部分」を発揮させて、会議中冗談ばかり言っていたとすると彼への評価は悪いものとなるでしょう。
 また、別な状況、例えば、会社が終わって、会社でのストレス解消をかねて仕事仲間と飲みに行ったとします。
 そして、今度はA氏が、「A無邪気な子供の部分」を発揮させて、冗談や、面白おかしいネタを言ったり、それに応対したりすれば、やはり彼への評価は高くなるはずです。
 ところが、なにを血迷ったかB氏が今度は、「@大人の部分」を発揮させて、飲み屋の女の子を前に、今度の会社の新プロジェクトや、新製品に関する話を延々と話しだしたとしたら、その場はシラケてしまうでしょう。
 つまり、自分の中にあるいろいろな要素の中で、その場にふさわしい自分を出せる人は、A氏のようにどんな場所でも好感をもって迎え入れられるのに対し、その場にふさわしい自分を出せないB氏のような人への評価は常に低いものとなってしまいます。
 もちろんB氏のようにその場の雰囲気と反対の自分ばかり出してしまうなどというのは極端な例ですが、よくありがちなのは、どんな状況でも同じ様な自分しか出せない、つまりワンパターンな対応しかできない人で、このような人は、ある特定の状況下での評価だけが高い、偏った人間と評価されるでしょう。
 例えば、「仕事一筋のマジメ人間」「5時から男」等です。

 私は、医師として人間として、どんな相手に対しても、私とのひとときが幸せなひとときになるように努力してきました。
 結果的に、どんな人にも、瞬時に、全くストレスなく合わせられる人間になってしまいました。
 そんなに、自分をコロコロ変えて疲れないのかという疑問もあるかもしれません。
 しかし、さっきの交流分析でもわかるように、人間の中にはもともといろいろな自分がいるわけですから、常にワンパターンな自分だけを出していく方がよっぽど退屈で窮屈ではないかと思います。
 そしてなによりも、いろんな自分を使い分けられる方がずっと相手を幸せにできるし、自分も幸せになれるわけです。
 そういうことで、いろいろな人とのひととき、そしていろいろな状況で、その場その場に最もふさわしい自分を表現できるようにすることは、究極の好感度アップ法でしょう。
 そして、そのためには、あらゆる人との出会いのなかで、コミュニケーションがうまくいったり、失敗したりしながら、完璧ではなくてもいいですから、相手の本心が見抜けるようにトレーニングする事が大事だと思います。
 ちなみに、私が最初に読んだ交流分析の本はやや古いものなので、ご興味があれば心理学書のコーナーで「交流分析」または「エゴグラム」関係の新しい本を探されてはいかがかと思います。

 業務の技能の向上と平行して、人間の性格を見抜き、それに簡単に合わせられるような心の柔軟性を身につけるようにすれば、公私ともにより楽に生きられるようになると思います。


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